サンプルテキスト【桜穂ゼミの日常】 『うあっ、ぐあっ、げやぁっ!』 醜いうめき声が部屋の中にこだまする。 テレビ画面の中の貧弱な兵士は、 緑色の巨大触手生物に向っていく。 手には木刀。 目をこらして見ると『京都土産』の文字。 この兵士は京都の土産屋で生まれ育ち、 漫画家を目指して上京した。 しかし、バイトしていたラーメン屋でベイブルース に気に入られ、米軍の殺戮部隊に入団したそうだ。 そういう設定だと、取説に書いてあった。 【郁】 「……馬鹿馬鹿しい」 俺はヤケクソでコントローラーのボタンを 連打していた。 『ヘイラッシャーイ! ヘイラッシャーイ!!』 木刀から伸びきったラーメンを放出する超必殺技。 しかし触手生命体は 一瞬でそれを食い尽くしてしまう。 そして肥大化した体から怪しげな光線を噴出し―― ズゴーン。 俺の操っていた機銃歩兵の ライフゲージが真っ赤に染まる。 とたんに消滅。 代わりに真っ赤な「GAME OVER」の文字が 浮かび上がった。 【郁】 「……」 俺は画面から目を離し、温くなってしまっている コーヒーカップの中身を飲み干した。 それからグイッと伸びをする。 今度はため息を一つ。 さらにもう一つ……。 我慢、ここは我慢だ。 落ち着くまで、辛抱辛抱……。 【?】 「キミは本当に下手くそだねぇ〜。  ゲームの才能無いんじゃない?」 【郁】 「ふざけんなテメーッ!」 俺のブチキレ耐久メーターはガリガリと 減殺されていき、僅か0.7秒で消滅した。 先に言っておく。 別に、ゲームオーバーになったことが 悔しいのではない。 どうにも解せぬことがある、だからキレたのだ。 俺は椅子をクルッと回転させ、隣を向いた。 【?】 「ふんふんふ〜ん、ザッコザコにしてやんよ〜」 透き通った、薄いブラウンの ツインテールがその鼻歌に乗って揺れている。 俺にとってはとても不愉快な歌の主。 今度こそ、この小娘をぎゃふんと 言わせてやらないとならない。 【郁】 「お前、ここがどこだかわかってんのか?」 【?】 「大学の研究室だね」 【郁】 「そう、その通りだっ!」 壁全体を覆い隠すように立ち並んでいる本棚の群。 そのキャパシティですら収納不可能な本達が、 机上に、床に山を築いている。 ドア付近に掛けられたホワイトボードには、 頭痛がしそうな呪文の羅列が乱雑に。 さらに、魔導書の如き印刷物が 超強力マグネットで固定されている。 スケジュール表には、 会議やら学会やらの文字もちらほら。 あまりにも騒がしいため空気的にはアレだが、 間違いなく、ここは大学の研究室だ。 【郁】 「そして今は何の時間だ?」 【?】 「ゼミの時間だね」 【郁】 「で、何で俺はこんなことをしていいるんだ?」 【?】 「ハッハッハ、それは私が命令したからだよ」 【郁】 「……理不尽な命令だとか、思いません?」 【?】 「コレも修行だ、頑張りたまえ」 【郁】 「単に俺をいじめたいだけでしょ、これ!?」 そう、俺が所属するゼミにはとてつもなく 大きな問題がある。 それは―― 隣に座る、液晶画面を見ながらはしゃいでいる 女の子。 彼女がこのゼミの教授であるということだ。 彼女、桜穂 弥々子(さくらほ ややこ)は天才だ。 それは認めよう。 一見して、十勝平野も驚愕するに違いない、 凹凸ゼロの見た目をしている彼女。 しかし、10歳でニコチューセッチュ大学を 首席で卒業している。 片暇で出版した幅広い分野での論文集は、 何故だか世界中でベストセラーに。 斬新な切り口なのに何故か和んでしまう文体は 21世紀の至宝とまで呼ばれた。 半年前設立されたファンクラブの会員は、 既に100万人を突破したと聞いている。 インターネット上には 「弥々子たんハアハア」のコメが散乱。 絵に描いたような人気者だ。 しかし、性格にはたまらなく重大な欠陥がある。 弥々子のゼミの唯一の学生である俺、 青葉 郁(あおば いく)はそう確信する。 現に、今も―― 【弥々子】 「……なぁに? 郁君?」 弥々子は紺色のスカートをパタパタさせながら 不思議そうな表情を見せている。 【郁】 「……弥々子、お前に聞きたいことがある」 【弥々子】 「どうぞ、言って言って?」 【郁】 「なんでお前は、  ウチの大学の付属高の制服を着てるんだよ?」 【弥々子】 「あれ? 似合ってないかな?」 【郁】 「いやいや、そういう問題じゃなくてですね!」 正直、まだいけるどころか お呼びでない気がしてならない。 かなり低い身長はまあ良しとして、 そのかなり残念な成長具合は苦笑ものだ。 【弥々子】 「んぃ?」 ……胸が大幅に余っている。 おそらく中の脂肪分は脳味噌にシワを刻むための エネルギーとして使われてしまったのだろう。 そして、この超童顔。 身長170センチ弱の自分の肩よりも遙か下に 位置する、まだあどけない表情に向かって 俺はため息を吐き出した。 【郁】 「あのさぁ、そろそろ講義を初めて欲しいんだが」 【弥々子】 「もう一回ゲームやって、  私に勝てたら考えてあげるよ」 【郁】 「勝てるかこんなもん!」 『バーカ、バーカ……』 【郁】 「ぐぅっ!」 未だにゲームオーバー表示が点滅している液晶画面。 このゲームは弥々子が制作したものだ。 俺も少しプログラム入力を手伝わされた。と言うか、 かなり手伝わされた。 ゼミの時間だけではとてもじゃないが足りない。 徹夜になるから無理だと言ったら怪しげな銘柄の コーヒーを1キログラムもくれた。嬉しくない。 【弥々子】 「こういうことをしておけば、  後々タイプが速くなって便利だよ」 【郁】 「うん、俺って法学部のはずなのに、  今ならプログラマーにもなれる気がするよ」 【弥々子】 「これで就活もバッチリだね!」 【郁】 「じゃかあしいっ!」 『バーカ、バーカ……』 1ヶ月間、大学内に監禁されて製作した格闘ゲーム。 その不愉快なゲームオーバーボイスは エンドレスで流れている仕様になっていた。 【郁】 「だー、やかましい!」 【弥々子】 「負けた方が悪いんだよ」 【郁】 「これ、俺に勝てる要素あるわけ?」 【弥々子】 「多分。私がラーメン兵士使えば」 【郁】 「一度たりとも使ってねーじゃん!」 このゲームは俺のためのものでも何でもなく、 アイツが個人的に満足するためだけのもの。 通常プレイ時には、例のラーメン兵士しか キャラクター選択が出来ないようになっている。 そんな相手にアイツは戦闘機やら怪獣やら、 エイリアンやら幽霊やらを自在に操り、 最終奥義クラスの超必殺攻撃を繰り出してくるのだ。 故に、俺の歩兵に残された運命は2つ。 ――じっくりいたぶられるか、瞬殺されるか。 それだけだ。 【郁】 「せめて、俺以外の奴をハメていたぶってくれよ」 【弥々子】 「えー、イヤだよ〜。キミ以外の人をこの部屋に  入れるのって結構リスキーなんだから……」 【郁】 「そうだな。  こんな部屋、人様には見せられないよな」 【弥々子】 「まーね。カミングアウトする気はまだ無いし」 弥々子は立ち上がって本棚から 重たい学術書を取り出した。 そしてそれを床に放り投げる。 【弥々子】 「今日はどれをオカズにしようかなぁ〜」 この部屋の本棚をざっと見渡すと、一見 全てが学術書で埋め尽くされているように思える。 しかしそれはハッタリだ。 表面だけは確かに学術書なのだが、その奥には 古今東西、様々な成年向けコミックが 密かに収納されている。 最近ではそれでは足りなくなったので 高価な学術書のケースの中にも隠してあるのだ。 床に散らばっている本は、エロ漫画に住処を 奪われた哀れな名著達なのだ。 それだけではない。 引き出しの奥にはアダルトゲーム。 カーテンの裏には 美少女フィギュアが立ち並んでいる。 変態だ。変態がここにいる。 ――ちなみに、俺もたまに買いに行かされる。 そんなときに限ってレジが女性なのだったりするので いたたまれない。 どうせ店のローテーションを知っていて、 わざとそのタイミングでやらせているのだろう。 ……最悪だ、本当に。 そもそも、何で俺なんだ。 俺はゼミの希望調査の時に第3希望で出したはずだ。 これだけの人気者のゼミに、 そんな奴が入るなんてことあり得ない。 というか、数多の人間がリスクを負って 第1希望に入れたと見ていいはずだ。 その証拠に―― 【弥々子たんファンクラブ会員】 「オイテメェ、ちょっとこっち来いやァ!」 【郁】 「ヒィイイ!!」 【弥々子たんファンクラブ会員】 「カスのくせにリア充気取ってんじゃねぇ!」 【郁】 「ウギャァア!!」 ファンクラブと思しき連中に絡まれることも度々。 勘弁して欲しい。 耐えきれなくなった俺は、 幼馴染の力を借りようと試みた。 その人は木守(きもり)さんといって、 大学の同期でもある。 彼女は地味で目立たないタイプではあったが、 癖のない清涼感を持つ素敵な子だ。 そして、弥々子ほどではないが身長は低く、 しかしなかなかの巨乳で何より包容力があった。 【木守】 『大丈夫、郁君にもいいことがあるよ……』 【木守】 『私、応援するよ。頑張ってね!』 こんな胡散臭い話を無条件で信じてくれるのは 彼女くらいなものだ。 やはり最も愛されるべき属性は幼馴染系だと いうことを実感させてくれたいいイベントだった。 しかし―― 【友人A】 「ごめん。そういうことだから、じゃ……」 彼女はその2日後に大学を辞め、 仕事の都合だと言ってモンゴルに引っ越していった。 ちなみに父親は地方公務員で、 母親は専業主婦だった。 さらに言うとこれは彼女の証言ではない。 妙に青ざめた顔をした、友人のものだった。 ちなみに、弥々子は―― 【弥々子】 「おのれロリ巨乳め……」 と言っていた。失踪前日に。 主犯確定だ。 【弥々子】 「うーん。やっぱり生足も良いけど、  全裸の時は靴下が最高だよねぇ……。どう思う?」 【郁】 「知るか」 鼻歌交じりにページをめくっている、 その顔立ちは幼女のそれにしか見えない。 しかし発言は超アブノーマル。 変態オタクエロオヤジだ。 頭だけ無駄に切れるので上手く 隠し通しているみたいだが……。 【弥々子】 「むぅ、冷たいなぁ……」 弥々子は口を尖らせた。 【郁】 「そりゃあだって、  お前の性的嗜好なんて興味ないから」 【弥々子】 「キミの好みかどうかを言ってくれればいいよ?」 【郁】 「それより、とっとと木守を返せ」 【弥々子】 「うぅ、郁君がいぢめるよぉ……」 【郁】 「いや、誘拐犯あなたですから!!」 【弥々子】 「だって、ロリ巨乳が……キミのこと……」 何やらブツブツ呟いている。 と思いきや―― 手をぽんと叩いて、嬉しそうに言った。 【弥々子】 「うん、そうだ。たまには真面目に試験をしよう!」 【郁】 「……はい?」 意味が分からない。 【弥々子】 「だから、試験だよ」 【弥々子】 「ほら、ここのところプログラミングしか  してないでしょ、キミ?」 【郁】 「ええまぁ、大体あなたのせいですけどね」 【弥々子】 「うん、だからちょっと、  いつもと違うことを……ね?」 【郁】 「……はぁ」 凄まじく、嫌な予感がした。 とりあえず避けた方が良いだろう。 【郁】 「このゼミで試験をするにも、出題範囲は  プログラミング以外思い当たらないんだが……」 【郁】 「それに、弥々子もいちいち試験するの  面倒だと思うだろ?」 【弥々子】 「全然面倒じゃないよ〜。むしろ楽しいことだから」 【郁】 「楽しいこと?」 【弥々子】 「そう、私だけじゃなくって、  キミにとってもとっても楽しいこと」 【弥々子】 「……こんな風に、ね!」 【郁】 「――!?」 唐突に、視界が旋回する。 不意を突かれた俺は、何が何だか分からないまま 椅子から床にすっころげた。 【弥々子】 「えへへ、ぴと」 俺めがけて飛び込んできた弥々子は、 胸の上でほおずりを始めた。 【郁】 「と、突然何をするんだ、お前は!?」 【弥々子】 「……私と、エッチしよう?」 【郁】 「は……?」 【弥々子】 「大丈夫。私の方が、ロリ巨乳なんかより  ずっと魅力的だってこと、教えてあげるから……」 【郁】 「ちょ……おい……!」 俺の腹の上にまたがった弥々子は、 スカートの端をつまみ上げた。 少しずつ、薄い桃色の下着が露わになる。 フリルとリボンであしらわれた、 可愛らしいショーツ。 【弥々子】 「えへへ、ちょっと、恥ずかしいな」 【郁】 「……お前、何が目的だ?」 【弥々子】 「さっき言った通りだよ」 【弥々子】 「キミと、エッチなことしようって言ってるの」 【郁】 「待て、俺とお前は――」 【弥々子】 「大丈夫。隣の部屋の先生、今は会議中だから」 【郁】 「そう言う問題じゃなくて――」 【郁】 「とりあえず寝言は寝てから言ってくれ」 【郁】 「っていうか目を覚ましてくれ」 【弥々子】 「大丈夫。キミの息子さんはもう起きてるから」 【郁】 「えっ?」 ふと、下腹部が熱くなっていることに気付く。 【弥々子】 「えへへ、こんなに大きくなるんだね」 【弥々子】 「……これでも、やめる?」 【郁】 「……」 マウントが取られているとは言え、 弥々子の身体は軽い。 跳ね退けるのは簡単なはずだ。 それなのに―― 俺の視線は、真っ赤に染まった弥々子の顔に 固定されている。 【弥々子】 「ふふっ……いい子だね」 とんっ、という軽い衝撃とともに寄せられる顔。 俺の唇と、弥々子の唇が触れあっていた。 はっとなって、見つめる。 潤んだ瞳。吸い込まれそうだ。 そんなことを思っていたら、突然舌を差し込まれた。 【弥々子】 「ん、んくっ、くちゅっ……ん……」 口の中が、弥々子にかき混ぜられている。 俺のものよりも微かに甘い、 初めての唾液の味が広がっていく。 【弥々子】 「んふっ……はぁっ、はぁっ……」 弥々子の色に、浸されていく……。 【弥々子】 「……ん、はぁっ!」 突如、息苦しさを覚え、口を離す。 つーっ、と延びたねっとりとしたものが、 床に垂れ落ちていく。 【郁】 「ど……どういうつもりなんだ……」 【弥々子】 「だから、試験だよ。それに証明」 【弥々子】 「ロリ巨乳なんかより、  私の方がずっとイイってこと……」 【郁】 「――っ!」 とたんに走る快感。 弥々子の手のひらが、 俺の下腹部にあてがわれていた。 【弥々子】 「えへへ、元気だね〜。  ……私、郁君のコレ、大好きだよ」 ズボンのジッパーが下ろされる。 待ってましたとばかりに飛び出してきた俺のモノは、 既に凶暴な塊へと変化を遂げていた。 【弥々子】 「気持ちよく……してあげるね?」 弥々子の赤く染まった舌先が俺のモノに触れる。 【弥々子】 「ん……ちゅ……ぴちゅっ……」 チロチロと亀頭の裏を移動するたび、痺れるような、 それでいて浮遊するような感覚に陥る。 たまらない快感。 【弥々子】 「えへ……いっぱい出てきた……」 漏れ出したトロリとしたカウパー液と 唾液が混ざり合い、弥々子の顔を汚した。 【弥々子】 「あぁ……うんぅ……美味しいよ……」 トロンとした目つきでペニスを咥えながら 弥々子は言った。 小さな口は詰め込まれたモノでもう はち切れそうになっていた。 その姿を見るたびに、俺の欲望は増大していく。 艶のある、飴色の髪。 長いツインテールをまとめる赤い玉の飾りが 急に可愛らしく見える。 気がつくと、俺はその頭を撫でてしまっていた。 【弥々子】 「んふぅえ?」 【郁】 「次は俺の番だ」 【弥々子】 「気持ちよく……してくれるの?」 見てくれだけは立派な美少女。 性格は極悪にしてエロオヤジ。 それでもやっぱり美少女だ。 そんな子が俺に誘いを掛けた。 冷静に考えれば、 それは据え膳喰わぬはというやつじゃあないか。 更に言うと、これはチャンスだ。 弥々子を散々いやらしい目にあわせ、猥らな姿にして 辱めることで、今までの鬱憤を晴らしてやる。 【郁】 「ああ、気持ちよくしてやる」 起き上がり、体勢を入れ替えた俺は、 弥々子をそっと、床に寝かせた。 【郁】 「ちょっと固いし冷えるだろうが、我慢しろよ?」 【弥々子】 「う、うん……」 【郁】 「よし、いい子だ……」 俺は両手を弥々子の胸にあてがい、 ブレザーの上から撫でていく。 【弥々子】 「あ、あうぅんっ……ふぅんっ……」 滑るような布の感触が気持ち良い。 少しずつ力を強めに、 そして摩擦で熱が生じるまで加速していく。 【弥々子】 「だ……だめだよ。もう少し……ゆっくり」 【郁】 「大丈夫だ。こっちの方が気持ちがいいから」 【弥々子】 「は、はじめてのくせにぃ……」 【郁】 「……なぜそれを知っている」 【弥々子】 「私はキミのことならなんでも知ってるんだよ……」 【弥々子】 「だってキミのことが……ぁんっ」 体を震わせる弥々子の平べったい胸部に ぷっくりと、可愛らしいものが突き出してきた。 【郁】 「嫌らしい奴だ。ノーブラじゃないか……」 【弥々子】 「むっ。だって……  ジュニアブラしかサイズがあわないんだもん」 【郁】 「言い訳にしか聞こえないな」 擦るのを止めた俺はその二つの実をつまんで、 練りけしをまとめる要領でこねていく。 左右交互に、力を入れたり抜いたりしながら。 【弥々子】 「ああ……んふうっ……はぁっ……」 【郁】 「あんまり喘いでいるとフロア全体に聞こえるぞ」 【弥々子】 「そんなこと言ったって……くぅっ!」 軽くひっかいてやったらビクンと体が跳ね上がった。 胸の方は悲惨なまでに貧相だが、 その分感度の方は良好らしい。 【郁】 「よし、じゃあ下の方も気持ちよくしてやるからな」 【弥々子】 「……うん」 そしてすぐさまスカートを捲りあげた。 むわっとした空気と、独特の――女の子の匂い。 スコッチ部には大きなシミが出来ていた。 その奥には秘密の入り口が見え隠れしている。 受け入れる準備は万端と言ったところか……。 【郁】 「すごく濡れてる」 【弥々子】 「う、うん。すごく、良かったから……」 【郁】 「本当に良くなるのはこれからだ。そうだろ?」 【弥々子】 「……うん」 ブレザーを捲り上げ、それからプチプチと シャツのボタンを外していく。 ほとんど平らな土台の上に、 小さなピンク色の実が二つ。 少しずつ、それでも確実に 弥々子の生まれたままの姿が露になっていく。 【弥々子】 「ちっちゃいの……イヤ?」 【郁】 「いや、正直揉んだことがないから分からない」 【弥々子】 「えへへ、はじめてさんだったもんね」 【郁】 「そんなことを言う奴は、こうだ」 両乳首を、少し強めにつねり上げる。 【弥々子】 「ひぃ、ん、はぁっ……あぅっ、すご……い  ……のぉ……やぁんっ!」 本当に胸の感度は最高のようだ。 【郁】 「脱がすぞ……?」 【弥々子】 「んんっ、はぁっ、いっ、いい、よ……」 既にトロトロになっているショーツをつかみ、 抜き取った。 細く伸びた一筋の糸とともに、 女性の体の最も敏感な部分が顔を出す。 ツルツルで、陰毛は全く見られない。 しかし表面は透明な液体が猥らな光を放っている。 そのギャップが俺を一層興奮させた。 【郁】 「見てみろ、もうベタベタだ」 小さく丸まったショーツ。 それを広げて顔の近くに持っていく。 【郁】 「いやらしい」 【弥々子】 「駄目、あんまり見ないで……」 【郁】 「見たくなくてもよーく見えてしまうんだよ。  毛一本生えていないからな」 【弥々子】 「だ、だって私……あぁっ!」 俺の人差し指を入り口に進入させる。 これだけ濡れているというのに、かなり窮屈だ。 それでも強引に押し込んでやる。 【弥々子】 「あぁっ、いたっ、ん……ぎぃっ……ん……」 やがてミチミチと音を立てて吸い込まれていき、 根本まで達した。 【郁】 「どうだ、気持ちいいか?」 【弥々子】 「ん、ぅんうぅっ……」 【郁】 「そんな返事じゃあどっちか判らないぞ」 【弥々子】 「痛いけど……き、気持ちいい……よぅ」 弥々子の体が小刻みに震えるたびに 温かいものが流れてくるのを感じる。 少しずつ指がスムーズに動くようになってきたので、 俺はもう一本突っ込んでやった。 【弥々子】 「うくっ、に……二本も入ってる……」 【郁】 「……お前、穴とマメどっちが好きだ?」 【弥々子】 「うあっ、はぁんっ……」 【郁】 「どっちだ」 【弥々子】 「りょ……りょうほう、好き……」 【郁】 「欲張りな奴め」 中指と人差し指を差し込んだまま、 親指で小豆の皮を剥がしていく。 ぴょこんと顔を出したそれは、 すっかり充血していた。 そのままぐりぐりと弄くり回す。 【弥々子】 「ああああああああぁんっ!」 【郁】 「おいおい、だからバレるって」 【弥々子】 「バレてもいい、それでもいいからっ……んんっ!」 【郁】 「俺は良くないんだが……」 【弥々子】 「大丈夫。私、結構お金持ってるし  キミならずっと側にいても……んんっ……!」 【弥々子】 「好きだったの……一目見たときから……  だから、イジめたくなっちゃって……ぁっ!」 【郁】 「そいつは光栄だ。しかし先生の癖に  イジメをしようというのはけしからんな」 【郁】 「お仕置きしてやる」 【弥々子】 「ぁあっ、らめぇ……そんなに暴れたら……  ざ、やぁ……壊れちゃぅ、ん……はぁ、ぁ……」 【弥々子】 「ああっ、な……ああああっ!!」 床に敷いてあるマットも、制服のブレザーも ぐしゃぐしゃにして身悶える弥々子。 激しい息づかいと喘ぎ声、それにぴちゃぴちゃとした いやらしい音が混ざり合っていく。 そろそろいいだろう。 【郁】 「それじゃあ……挿れるからな」 【弥々子】 「う、ぅん……」 俺は小丘から手を離し、かつて見たことがないほど いきり立っている陰茎を手に持った。 自分のものだと信じられないくらいだ。 弥々子に咥えられて既に数分が経過しているが、 それは湿り気を全く失っていない。 挿れる時を今か今かと待ち構えているようだった。 ……待たせたな。今すぐ入れてやる。 女の匂いで満たされた花びらに、 俺は自分の分身をあてがった。 【郁】 「いくぞ……」 【弥々子】 「……うん」 腰に、少しだけ力を入れる。 入らない。 先程まで人差し指一本の進入ですら困難だった 秘密の部屋。 【弥々子】 「入らない、の?」 【郁】 「じっとしてろ」 仕方がない、力を加える。 入らない。 さらに、力を加える。 【弥々子】 「ああっ!!」 興奮して赤く染まった亀頭が穴の中に滑り込んだ。 【郁】 「よし、奥まで挿れるぞ」 返事を待たずして俺は弥々子の腰に手を当てる。 そしてすぐさま、思いっきり力を込めて突きつける! 【弥々子】 「ああ、あああああああああんっ!」 弥々子が絶叫する。 その振動で俺の股間が反応する。 弥々子の、とっても狭い所。 その中で尚巨大化を試みる俺の陰茎に、 まるで電撃のような快感が通り抜けていく。 ひとたび気を抜こうものなら、 すぐにでも絶頂に達してしまいそうだ。 【郁】 「大丈夫か?」 【弥々子】 「ぅん。結構……痛いかな。ヒリヒリするよ……」 【郁】 「処女だったのか、お前?」 確認するのも忘れていた。 【弥々子】 「うん……そう、だよ……」 【郁】 「そうか、そりゃあ少し強引にいきすぎたかな」 【弥々子】 「ううん……いい、よ……」 見ると赤い血が数滴ぽたぽたと垂れていた。 それを指ですくい、ぺろっと舐めてやる。 【郁】 「ずいぶんと淫乱な処女だこと」 【弥々子】 「だって、郁君ってすごく格好いいから……」 【弥々子】 「だから、二人きりで同じ部屋にいて、  エッチな本を読んでたり、ちょっかい出してたら  手を出してくれるかなぁって……」 【郁】 「随分と集めたもんだな」 【弥々子】 「だ、だって……見てるとすっごく  ドキドキするから……んっ!」 少し動く度に、 弥々子の中で汁が溢れているのを感じる。 既に漏れ出しそうな勢いだった。 【弥々子】 「郁君、動きたかったら、いいよ。  もう……大丈夫だから」 【郁】 「……それじゃあ、ゆっくりな」 【弥々子】 「うん……」 俺の腰は再び注送を開始する。 びちゃびちゃに浸された中を少しずつ。ゆっくりと。 我慢の限界はすぐそこまで来ている。 その心地よさは予想を遙かに超えていた。 【弥々子】 「あっ……いやぁっ! あっ!!」 弥々子はまだ痛みが残っているのだろう。 女としての悦楽の越えに混じって、 時々息を堪える音が聞こえていた。 瞳からは涙が伝っている。 それでも腰の動きを止める気にはなれない。 それに応えるために、 俺も子宮の入り口を何度も叩き付けた。 淫靡な、ケダモノの踊り。 俺の意思とは関係なく 動いているようにさえ感じられた。 【郁】 「ふうっ……ふうっ……!」 汗が目の中に入ってきて染みている。 しかし、それを拭うことも忘れて、 俺は腰を動かし続けている。 たまらない。たまらない。たまらない! 【弥々子】 「あ、つよっ……ああっ!!」 徐々に、加速していく。 へそを、乳頭を、首筋を。 表面を俺の唾液で汚しながら、 それでも加速していく。 【弥々子】 「すごい、感じる……感じるよぉっ!!」 【弥々子】 「ああっ……んぐっ!」 再び快楽に溺れ始めている少女の唇を塞ぐ。 さっきのキスのお返しとばかりに下を絡め、 そのまま歯の一本一本に至るまで舐め回してやる。 【弥々子】 「ああっ、ん、む……ちゅぅ……ぁん……」 今度は俺の唾液で満たしてやろう。 俺の本能が、そう言っている。 俺はそれに抗う術を持っていない。 よって、腰は更に加速していく。 目の前に迫った、絶頂の瞬間に向かって。 【郁】 「ぷはぁっ!」 【弥々子】 「あっ、くっ、ん……」 たまらず口を離す。 【郁】 「もう、限界だ。……出すぞ!」 【弥々子】 「あぁっ……私も、もう……イっちゃうよぉっ。  一緒に……一緒に!」 【郁】 「ああ、一緒に――」 その瞬間、熱くなった股間から何かがはち切れた。 【弥々子】 「ああ、んはぁあああああああああ!!」 二人ほぼ同時のオーガズム。 視界が真っ白になって、腰が宙に浮いたみたいだ。 どぴゅっ、どぴゅっという音とともに、 激しく揺れる体。 俺は、全てを弥々子の中に吹き出していた。 【弥々子】 「あっ……あぁ……あぅ……ん……」 【弥々子】 「よ……よかったよぉぅ……んぐ……」 ぬっくりと抜き取られていく陰茎を見やると、 最後の一滴を細い小指でもって絡め取り口に運んだ。 【弥々子】 「えへへ……ごちそう様」 そう言って、恍惚の表情を浮かべた。 【郁】 「ほら、そこ腰上げて……」 絶頂の余韻に浸っている弥々子の髪を撫でながら、 俺はティッシュペーパーで床を拭いていた。 精液は弥々子の膣内には全て入りきらず、 そこら中に飛び散った。 机の上に置いてあった俺の鞄にまで付着している。 ちょっとした惨劇状態だ。 でも、まあいいや。後回しで。 しばらくはここを動きたくはない。 俺の子種を体中に付着させてうっとりしている弥々子を見ていると、そう思えた。 …………。 【弥々子】 「スカート」 【郁】 「は?」 突然口を開いた弥々子。 そのワードはかなり予想外だった。 【郁】 「何のことだ?」 【弥々子】 「スカートはいたままだよ、私」 【郁】 「それがどうかしたのか?  ああ、汚れたってことか。悪いな」 【弥々子】 「そういうことじゃないよ!」 【弥々子】 「ってあいたたた。おまたがむずむずするよ……」 【郁】 「初めてで突然起き上がるからそうなるんだよ」 【弥々子】 「だって……  エッチは裸に靴下が最高って言ったのに……」 【郁】 「なんだ、そんなことか」 【弥々子】 「そんなことじゃないよ!  それに、ブラウスも袖通ったままだったし……」 拗ねたように口を尖らせた。 【弥々子】 「そりゃあ、はいたままも悪くはないけどさぁ。  初めての時は裸に靴下って決めてたんだよ?」 【郁】 「ヘイヘイ、そりゃあ悪かったね」 【弥々子】 「むぅっ……」 ジトッとした視線。 ちっこい体にぷにぷにの肌。 おまけに顔には俺の精液が拭き取られることなく 残っている。 残念ながらその眼力は攻撃力皆無だ。 【郁】 「そこの大学教授さん。精液がついたままですよ」 俺はティッシュペーパーを一枚引っ張って渡す。 【弥々子】 「むぅ、有り難う。  しかしこれはまだ私には不要なのだよ。郁君」 【郁】 「ん、どういうことだ?」 【弥々子】 「もう一回やろう」 【郁】 「……はぁっ!?」 【弥々子】 「今度は裸に靴下でよろしくね?」 【郁】 「いやいやいや、さっきあれだけ出しただろ?  無理だって!」 【弥々子】 「ふふふ、果してそうかね?」 弥々子は俺の股間をまさぐった。 【郁】 「あ、あれ……?」 それはみるみる内に巨大化していく。 【郁】 「ど、どういうことだ……!?」 【弥々子】 「はっはっは。答えは簡単だよ、郁君」 両手を腰に当てて、弥々子は得意げに語る。 【弥々子】 「キミがさっき飲んでいたコーヒー、  アレには強力な精力剤が入っていたのだ!」 【郁】 「……」 やられた。 【弥々子】 「ちなみに先週までのコーヒーには男性ホルモンやら  性ホルモン剤やらを仕込んでおいたからね」 【弥々子】 「これからたくさんエッチができるよ?」 【弥々子】 「……だから、まずスカートを脱がせてくれると  嬉しいな?」 そういって、悪戯な笑みを浮かべた。 【郁】 「まったく、ずいぶんと奸計をめぐらせてくれる  先生様だな」 【弥々子】 「今は恋人って言って欲しいな……?」 【郁】 「……ああ、分かったよ。弥々子」 俺は苦笑してから、 ゆっくりとスカートに手を伸ばしていく―― …………。 翌日の講義中、 俺のケータイが奇妙な爆音を立てて震え上がった。 周囲の目線を気にしつつ、荷物を持って部屋の外へ。 『いますぐ研究室にきてねー! エロエロな郁君へ』 蓋を開くと、 非常に唐突で理不尽で馬鹿げた文面が目に入る。 エロエロなのはお前の方だろうが。 そもそも、 俺は弥々子にメールアドレスを教えた覚えはない。 それ以前に、あんな着信音に設定した覚えはない。 更に言うと、あんな着信音、知らない。 とんでもなくけしからん女だ。 文句を言ってやらねば。 グダグダと文句を考えながら、 それでも俺の心は躍っていた。 いやしかし、昨日はいささかやり過ぎた。 結局、あの後3回もやってしまったのだ。 恐るべし精力剤の威力。 【郁】 「でも、あまりがっつかないようにしないとな」 処女を喪失したてでは大変だろうし。 何より俺たちは恋人同士なのだ。 これからは騒がしい研究室ではなく、 もっと甘い空間になればいい、そんな風に思う。 そして研究室の前。 ノックをして、それからガチャリとドアノブを捻る。 【郁】 「入るぞー……って」 【郁】 「なんじゃこりゃあ!?」 俺の普段座る席、 そこにとんでもない姿の女が座っていた。 手首に手錠。口に荒紐。 そして全裸に靴下で。 【弥々子】 「ああ、おはよう郁君……はは」 メイド服姿の弥々子が力ない笑みを浮かべている。 あいかわらずのコスプレも可愛いのだが、 それどころではない。 【郁】 「あ、あの……この方は?」 【弥々子】 「ええっと、ロリータ巨乳です」 【弥々子】 「……キミの幼馴染の」 【郁】 「え、コレ木守さんなの!?」 【弥々子】 「うん、一応そのはずなんだけど……」 確かに、よく見てみると 身体的特徴は、まんま木守のそれだ。 しかし―― 【木守】 「あはっ……く、うん。イイっ!」 【郁】 「……」 俺と弥々子が見ているにもかかわらず、 盛大に自慰をしていらっしゃる。 【郁】 「ええっと……どうしてこんな事に?」 【弥々子】 「実は、この子私の部屋に招待してしてたんだけど、  その時、ちょっとね……」 【郁】 「え、誘拐じゃなくて?」 【弥々子】 「そんなことするわけないでしょ?」 【弥々子】 「読みたい貴重書があるからって  ウチに通ってただけだよ」 【郁】 「それで、間違えてエロ本を  渡してしまったわけですかな」 【弥々子】 「うん。そうなるね」 【郁】 「それで……こうなったと」 【木守】 「あぁっ、んふっ……くぅっ……」 【木守】 「エッチって素敵……はんっ!」 【弥々子】 「……うわー、人ってエッチな本一つで  こんなに変われるものなんだね」 【郁】 「呑気に構えてないで治してくれません!?」 【弥々子】 「いや〜、一応いろんな手段は  用いてみたんだけどね」 【郁】 「ほう、駄目だったと」 【弥々子】 「ごめん」 【郁】 「もしかして、それだから解放できなかったと」 【弥々子】 「……ごめん」 申し訳なさそうに、ポリポリと頭を掻いた。 【木守】 「あ、郁君じゃないですか?」 自慰にふけっていた木守さんと目が合う。 っていうか、散々騒いでたのに、 今まで気付いていなかったのか……。 【郁】 「えーとその、君はだね。  その、幼馴染属性としてだね……」 【木守】 「郁君も私のいやらしいところ、見ますか?」 【郁】 「な……何だと!?」 突然の提案に、俺は盛大なツバを吐き散らす。 そして、自然と視線は胸の谷間へと。 【郁】 「おお、絶景かな……」 そのちんまりとした身長とはアンバランスな でかい胸が、たゆんたゆんと揺れる。 【弥々子】 「あ、今ちんちん大きくなった!」 【郁】 「し……しまった!!」 弥々子の鋭い睨みが股間に突き刺さる。 【郁】 「ちょ、ちょっと待て! これは――」 【弥々子】 「やっぱりロリ巨乳がいいんだ!  この浮気者!!」 【郁】 「不可抗力だろ!?」 【弥々子】 「こんないけない子、  私がお仕置きしてあげるもん!」 【郁】 「やめろー!」 必至の抵抗も空しく、 ズボンとトランクスが引きずり下ろされる。 【弥々子】 「はむっ……ちゅ、ん……」 【郁】 「だから咥えるなって!  ホラ、木守が見てるし!」 【木守】 「うん、一人だけ見てるのは寂しいよ〜」 【木守】 「だから……私も混ぜて?」 【郁】 「ええぇ〜!? ってぷぎゃっ!」 拘束具がついた状態で飛びかかられ、俺は卒倒した。 【弥々子】 「やるわね。でも、私だって負けないんだから!」 【弥々子】 「くち、ん……れろ……ちゅぷ……あんっ……」 【木守】 「ホラホラ。私のおっぱいも、いっぱい味わって?」 【郁】 「お前ら、落ち着いてくれぇえええ――っ!!」 …………。 …………。 …………。 【郁】 「う……もう無理ッス……」 過労死しそうな腰を押さえながら研究室を出たのは、 あれから五時間後のこと。 窓の外ではもう日が落ちかけていて、 カラスが馬鹿にしたようにカァカァ鳴いている。 【郁】 「俺、何やってるんだろう」 【木守】 「いいじゃない。幸せそうで」 【郁】 「干からびてるように見えない?」 【木守】 「ちょっと……ね」 【木守】 「でも、桜穂先生と一緒の時の郁君って  凄く楽しそうだよ」 【郁】 「……」 【木守】 「もちろん、郁君は私のモノだけどね」 木守は、学部会に頼み込んで ウチのゼミに移籍をする気らしい。 すっかり痴女属性になってしまった彼女は 軽やかにスキップをして去っていった。 【郁】 「……幸せね」 とりあえず、心労と騒がしさは絶えそうになかった。 【郁】 「ま、いっか……ん?」 途端に、ポケットから例の悪趣味な音楽が流れ出す。 『また明日ね。愛しの郁君(はぁと)』 【郁】 「……バーカ」 でも―― 【郁】 「俺もたまには、スキップでもして帰るかな」 ……なんてな。 浮き足立っている自分に苦笑する。 【郁】 「それじゃ、また明日」 一度だけ振り返って。それからまた、帰路を歩く。 不思議と足取りは軽かった。 激しい運動と過労の後の割には、だけど。 明日もきっと、馬鹿馬鹿しい一日。 それが楽しみで仕方がなかった。